アメリカの医療システムは日本と比べると少し複雑です。でも、長くアメリカに滞在する場合は、いつか病院にいく機会が訪れるでしょう。ここではアメリカで病院にかかるための基本的な情報をご案内します。
アメリカの病院の仕組みを知りましょう
- まず気を付けるべきポイント
・保険の種類よって負担額やカバー範囲が異なる
・日本では現在、国民皆保険かつ負担額も一律ですが、アメリカでは保険の加入は任意のため、加入している保険(以下Insurance)の種類によって、負担額が異なります。更に具体的には、Insuranceによってどこまでの治療をカバーしているか、その病院はそのInsuranceのNetwork内なのか外なのか、などによって負担額が異なります。
・予約は必須
・日本では初診でふらりと行っても病院は受付てくれますが、アメリカでは基本的に予約必須です。
- 医者・病院にかかるときの種類 : 大きく分けて、以下の5つに分けられます。
① PCP【Primary Care Physician】Visit:
Primary Doctorにかかることです。一般的に日本では何かあったときに内科の先生にかかるイメージでしょうか。Primary Doctorについては下段でご紹介します。
➁ Specialist 【専門医】:
診療科ごとの受診です。直接予約をとることも可能ですが、Primary Doctorからの紹介状が必要になる場合も多くあります。
③ Urgent Care 【外来治療】:
予約無しでも診察をしてもらえますが、受診料は① ②より高額です。また、継続治療の場合は ① ②へかかることになります。
④ ER(救急処置室):
緊急を要する場合はERへいきましょう。Urgent Careは応急処置のみになります。
⑤「ミニクリニック」Pharmacy(薬局):
WalgreensやCVS等の薬局で薬を買うだけではなく、ワクチン等 のサービスもできます。予約で薬局での看護師や医師助手が体調の問題などを診て、診察ができて、処方箋も作れます。提供されるサービスのリストと予約を取ることについては、以下のリンクを参照してください。
・Walgreen https://www.walgreens.com
⑥ 911 (救急車をよぶ):
生死に関わる場合は911へ電話をします。アメリカでは救急車は有料です。
Primary doctorを決めましょう
日本では病気の症状によって診療科を選んで受診することが一般的ですが、アメリカではケガや身体に不調がある場合には、まずPrimary Doctor(またはFamily Doctor)にかかることが一般的です。また、14歳未満のお子さんは、かかりつけの小児科医(Pediatrician)を決める必要があります。
もちろん診療科ごとの専門医(Specialist)に直接かかることもできますが、Primary Doctorからの紹介状が必要である場合が多いようです。また、直接専門医にかかると健康状態の確認や検査を一から実施する必要があり時間がかかる上、診察料も高めです。
Primary Doctorは健康診断から予防接種、急病への対応、妊娠前の簡単なカウンセリングなど多岐にわたり一般的なことはまず診察・治療に対応してくれます。ご自分で選んだドクターをPrimary Doctorとして登録すると、他の医療機関で治療を受けた場合にもすべてのデータがそのドクターのもとに送信され、あなたの健康状態を総合的に把握してくれます。
さて、Primary Doctorの決め方ですが、人ぞれぞれ選ぶにあたっての条件は異なると思います。家から近い、大きな病院が好み、口コミ評判がよい、通訳サービスがある等々。事項の“予約の前に確認しておいたほうがよいポイント”を参考に、ドクターをみつけてください。診察後、Primary Doctorとして登録をしたい場合はその旨をドクターへ伝えればあなたのPrimary Doctor登録は完了です。特に診察してほしい症状がなくても、「Primary Doctorをさがしており検討の為ドクターと話したい」という内容で予約をいれ、ドクターに質問(緊急時に即日診てもらえるか、メールでの相談は可能か、日本人・アジア人の診察経験はあるか等)をすることができます。
病院・ドクターを選んで予約をいれましょう
- 予約の前に確認しておいたほうがよいポイント
・ご自分の加入しているInsuranceのWebsiteから、Insuranceのネットワーク内の病院・クリニック・ドク ターを確認しま しょう。ご自宅のZip code(郵便番号)から最寄りの情報を検索できます。もちろん、病院に直接問い合わせをして、保険が適用されるかどうか確認することもできます。
・アメリカでは病院・クリニック・ドクターの評価をみることができます。病院選びの基準にするといいですね。
・通院が必要な場合もふまえ、アクセスのよい場所を選ぶとよいでしょう。
・病院・クリニックで通訳を手配してくれるかどうか確認しましょう。電話通訳・対人通訳、有料か無料か、もポイントですね。弊社でも病院通訳の派遣を承っておりますので、ぜひご相談ください。
・日本でいう大学病院・総合病院にあたるような病院の系列(一般的にネットワークとよびます)に加入している病院・クリニックを利用すれば、診療科が異なっても通院や検査結果を専用のページ(Webもしくはアプリ)で管理することができます。Triangleエリア周辺ではDuke, UNC, Wake Medなどが主なネットワークです。同じネットワークで通院・診療を統一すれば、ご自分の履歴だけでなくご家族の履歴もいつでも確認できますので、大変便利です。
- 予約~診察
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- 予約をいれましょう。初診は電話での予約が一般的です。
- 日本と同様、初診では診察前に問診票の記入がありますので、予約時間より20~30分ほど早めに到着しましょう。Insurance cardとIDを忘れずに持参しましょう。
- 診察・支払いは病院の指示に従ってください。
緊急の場合はどうするの?
Primary doctor・Specialistは、定期検診・予防接種・緊急を要しない場合にかかります。では、高熱や骨折など緊急を要する場合はどうしたらよいのでしょうか?
・まずはPrimary doctorに電話をします。病院によってはメールでの相談も可能です。症状によって、すぐに来院
するよう指示があるばあいもあります。
・Primary doctorが予約でいっぱいの場合には、近くのUrgent careに行きましょう。予約なしで直接たずねれば
診療をしてくれます。Urgent careでは手術の設備が整っていない為、応急処置のみとなります。
・骨折や流血など、既に症状が明らかに緊急を要する場合などはERへ行きましょう。
・生死に関わるような場合には911に電話をしてください。